2015年5月26日火曜日

死にゆく手法と蘇る手法:Part4

■地合いは変わる
 では次に地合いへの優位性について考えてみましょう。

 こちらは大雑把に言うと、市場全体のトレンドと手法の方向性が一致しているかどうかという話で、要は「市場全体が上昇トレンドなら、ロングメインの手法なら大抵勝てる」ということです。ひたすら下げ続けるような下落市場では、どんな株であれロングしていれば大抵ドローダウンを受けます。上手くやれば指数よりは下げずに済むかもしれませんが、リターンを期待するのは難しいでしょう。私達のリターンは、手法の良し悪しや銘柄選択だけではなく、市場の方向性によって成り立っている部分があります。

 もうちょっと真面目に話をするなら、株価のボラティリティの確率分布がどちらに傾いているのかという話になります。10-20年位のスパンでみれば、株価のボラティリティの確率分布はある程度正規分布に近い形になるかもしれません。しかし、数年・数ヶ月単位であれば間違いないく偏った確率分布になります。
 従って、地合いへの優位性というのは、特定の確率分布下における、その手法が持つ期待値と言っていいかもしれません。そのため、手法が前提としている確率分布から剥離した状態であれば、今まで同じことをやっていてもドローダウンが続くという状態が発生します。





■地合いが分かれば苦労はしない
 こちらの優位性はその時の地合いによって変動するものになりますので、どうしても再現性が低くなってしまいます。また、そもそも「今の地合いはどうなのか?」という質問に対して、明確な回答ができないという最大の問題があります。そこが分かるなら、投資家の悩みの7割くらいは解消されるのですが、残念ながらこれについては完璧な回答はありません。
 そのため、投資家が取れる手段としては概ね以下の4つになります。

  A.市場の方向性は推測できないとして、どっちに転んでもいいようにする
  B.推測が当たった時のリターンを最大化できるようにする
  C.トレンドの転換を感じたらすぐに手法を切り替える
  D.上手くいくよう神様に祈る

 一応、フォワードテストを継続して行い続けることである程度補完はできますが、それでも完璧ではありません。個人的な印象としては、上手いトレンドフォロワーやモメンタム投資家の方は、この辺りの切り替え精度の高さ(手のひらの返すスピード)で勝っている印象があります。
 また投資歴の長い投資家は、手法がいつか機能しなくなるという経験がありますので、手法の切り替えや強弱を直感的に判断している部分があるように思えます。そういった方は、手法を変えないにしろ、無理をせずにまずはポジションを減らすという行動に出ます。そのため、損失を最小限に抑えて次に機会を待つことができ、最終的に勝つという結果に繋がっているのではないでしょうか


■勝ち続けるために
 以上、つらつらと書いてきましたが、思いの外長くなって自分でも驚いております。手短にまとめるなら「同じ手法を、同じように運用していたらいつか負ける」というだけの話で、投資歴の長い方には常識的な内容ではないでしょうか。
 アローヘッドの導入でスキャ系が苦しくなり、アベノミクスによってブレイク系の手法が復活したように、その時々によって有効な手法は変わっていきます。そしてこういった循環は昔から常に起き続けていることであって、特段珍しいことではありません。

 私達の目標は「勝つこと」ではなく「勝ち続けるor勝ち逃げする」ことですから、こういった変化に対して常に付き合い続ける必要があります。つまるところ、「自分の手法を市場の変化に合わせてフィッティングする」ことが投資家の最大の仕事ではないでしょうか。
 1つの手法に拘りを持つことも重要ですが、その場合にはより繊細な運用の仕方をしないと、ドローダウン期に退場させられる可能性があります。手法やポジションの取り方を変えないということは、負けるときにはどこまでも負け続けます。バリュー系投資家が死ぬのは、割高な銘柄を掴んだ時ではなく、割安な株が更に下がっていく時です。

  本稿を読まれた方で、勝ち続けられるようになった方が1人でもおられましたら幸いです。また、ちゃんと勉強したいという方がおられましたら、五月先生の「東方マネー」を読まれることをお勧めします。この本は、基本的な手法の話から、投資家として生きていくために必要な内容も掲載されておりますので、一度目を通す価値はあるかと思います。

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