2015年5月16日土曜日

ヘッジファンドのオチンギン

■ヘッジファンドのオチンギン
 今回はヘッジファンド・ファンドマネージャーの収入について書いてみます。前回の記事の続きを書いてもいいのですが、真面目な記事を書いた後なので適当な内容を書きたくなりました。前回の記事以上に中身がないので、気になる方はこの記事を読むよりは適当にググった方がいいと思います。

 個人投資家にとって、ヘッジファンドと言えば憧れの対象であるとともに、「またGSか!」といったようにヘイトの溜まる存在でもあります。そしてファンドマネージャーと言えば、学ぶべき先人であるとともに高給取りの代名詞でもありますので、妙齢の女性からも熱い視線を注がれる存在となっております。

 一般的な認識としては、ヘッジファンド・ファンドマネージャーというのは他の職業をはるかに凌駕する収入を得ていると思われていそうですが、実際のところ本当にそこまで割りのいい仕事なのでしょうか?掘り返したところで個人投資家には意味のある内容ではありませんが、物事の見方の1つとしてちょっと考えてみましょう。また、何分クローズドな部分が多いため、私個人の偏見が多分に含まれた内容となっておりますのでご注意下さい。

 なお、毎度のごとく結論を先に言ってしまいますと「ヘッジファンドは市場だけではなく、運用資産額とも戦っている」という話です。


■ヘッジファンドの収入
 ヘッジファンドの収入は大きく分けて、マネジメントフィーとインセンティブフィー(パフォーマンスフィー)の2つがあります。マネジメントフィーは、文字通り管理している資産の額に比例して得られる収入で、一般的には運用資産額*2%となります。インセンティブフィーは、得られたリターンに対して一定の割合を頂きますという収入で、こちらは20%が一般的かと思います。インセンティブフィーの方はファンドの基準価格をもとに、High Water Markつまり過去の基準価格を上回った分だけが支払い対象となります。要は「稼げない奴に払う金はねぇよ( ゚д゚)、ペッ」という話ですね。

 もちろんファンドによってはもっと低い数字を出しているところもありますし、逆に過去の実績が素晴らしいところであればもっと大きな報酬をとっているところもあります。ただし、そういうファンドはごく一部の富裕層にしか話を出さないため、私達が詳しい情報を得るのは難しいのが現状です。
 
ちなみに、最近発表されたヘッジファンドマネージャーの報酬ランキングでは、1位がCitadelのKenneth Griffin氏で年収13億ドルとなっておりますスゲェ( ・∀・)



■意外とかつかつ
 とりあえず今回は一般的な2-20を基準に考えてみましょう。仮に運用資産額(AUM)が100億で年のリターンが+10%であれば、マネジメントフィー2億+インセンティブフィー2億がファンドの収入となります。これだけを見ると、確かになかなかの収入です。しかし、これはあくまでもファンドに支払われる金額です。日頃損益計算書を見ている人であれば、「で、原価や管理費はいくら?」という問題に気づくでしょう。

 ざっと考えただけでも、ファンドが払わなくてはいけないお金は色々あります。
・ファンドマネージャーの給料
・アナリスト・トレーダー等の運用周り担当の給料
・バック・ミドルオフィス担当の給料
・営業担当のお給料
・オフィス、PC、トレーディングシステム等の設備費用
・アドミニストレーター(ファンドの監査法人みたいなの)への支払い
・etc
 
 基本的には人件費の割合が大きいビジネスになりますね。加えて、基本給と成果報酬が大きい業界でもありますから、人材を引き止めるためにケチることもできません。仮に、ファンドマネージャーにマネジメントフィー1%、インセンティブフィー10%を取り分とした場合、ファンドの手元に残るお金はいきなり半分になりますアラマァ(゚Д゚) 
 ファンドマネージャー側から見てみると、100億運用して高いパフォーマンスも出した結果ですから、得られた1億+1億という金額に対して、「少ない」と言うことはあれ「多すぎる」とは言わないでしょう。まあ「1%も貰ってねえよ!」というファンドマネージャーはいるでしょうが。なお、当然ながら割り当てられている運用資産額が減ると、基本給も減りますしインセンティブフィーの絶対額も減ります。

 上記の例であればインセンティブフィーが発生しているので余裕がありますが、これでもし年間リターンがマイナスだとマネジメントフィーだけでやりくりしなくてはならず、結構カツカツの状態になってきます。


■Fight the 固定費
 「人減らせばいいんじゃない?」と思われる方もおられるかと思いますが、ファンドマネージャーは必要ですし、運用周りの人員を減らせば肝心の運用に支障が出ます。バック等の人員を削ることは一応可能ですが、ファンドの損益管理や約定周りの処理がきちんと行われないと、いつか大きな問題が発生します。某C社とかだと、「Confirmationがこない」「約定価格がおかしい」「OTCものが3週間たってもSettleされんぞクソガッ!(# ゚Д゚)」とか聞きますし。そもそもファンド出資者への報告内容が適当だとすぐに解約されてしまいます。「リターン良かったのは単なる計算ミスでしたテヘペロ(・ω<)」では許されませんよね。

 こうしてみると、運用資産額が一定の水準を超えないと、損益分岐点を超えるのが結構きつい感じですね。まるで工場を抱える製造業みたい。運用資産20億とかだとファンドマネージャー1人+バック・ミドルオフィス担当1人とかが精一杯そう。運用資産額に比例して収入が増えるビジネスですから、お賃金や会社の拡大のためにはどうしても運用資産額を増やす努力が優先されます。「金が集まりすぎたからもう締め切るわ」というヘッジファンドがある一方で、運用資産額を増やさないと潰れるところがあるのが実情です。
 またシステム周りの費用も意外と馬鹿にならず、小さめの投信が某N社系列のトレーディングシステムを使ってたら、それだけでマネジメントフィーが吹っ飛んだ等という話も聞かれます。
 一方で、この損益分岐点を超えることができれば、あとは固定率のインセンティブフィーしか増えませんので利益がドカッと出る事業形態です。また事業への投資が基本人材採用のため、固定費の増加もコントロールがきき、ある程度は変動なしで継続することも可能です。ますます製造業じみてきましたね。

 濡れ手に粟商売かと思われたヘッジファンドですが、意外と生き残るのが大変そうです。

 余談ではありますが、この点を頭にいれておくと、ヘッジファンドの運用資産額と人員増加タイミングを見れば、そこのヘッジファンドがどの程度利益が出ているのかが推測できます。暇でしたらレオスとかでやってみると面白い結果になるかもしれません。


■運用資産額はどのくらい
 上記の例では運用資産額100億としましたが、現実的にこの規模の資金を集めるのは結構大変です。「ヘッジファンドやるから100億出してくれ(^ω^)」でお金を出してくれるお金持ちはいませんし、もしいたら私にも紹介して頂きたいです。
 レオスがこの前運用資産1000億突破の話をしていましたが、国内であれば数百億前後が一番集中しているラインかと思われます。もしかしたらアベノミクス効果で、中央値はもっと上がっているかもしれません。MAM(Melco Capital含む)とかも結構大きいのですが、あの辺りは大会社直下だったりクローズドだったりで情報が出ないのでここでは省略させて頂きます。
 一応Webページがあって日本人系のヘッジファンドであれば、EpicやStats、Kimco等があります。ただ、一部はシンガポールに拠点を移していたりしますので、これまた事情が異なったりします。

  Epic:http://www.epic-partners.jp/
  Stats:http://www.stats.co.jp/index.html
  KIMCO:http://www.kimco.com.sg/index.html

 実際のところ、数千億~数兆円クラスのヘッジファンドとなると、どうしてもアメリカ様のお話というのが現状で、日本系列だともっと規模が小さくなってしまいます。また本場のアメリカ様でも、ヘッジファンドは潰れてまた出来てというのを結構繰り返しており、ちっちゃなファンドはそれこそ数年で潰れるのが珍しくありません。「利益が出なくても続けていればいつかは..」というのも考えられますが、ヘッジファンドは基本他の方の資金を運用する以上、パフォーマンスが悪ければあっさり解約されますので、そもそも「続ける」ことができません。

 加えて、バーゼルⅢ対応の影響で、小さなヘッジファンドはPrime Broker(個人でいうところの証券会社みたいなの)との契約を打ち切られていますので、「そもそも事業を始められない」という状態に追い込まれつつあります。うーん先行き厳しい。

 以上、色々と書いてみましたがびっくりする程中身がないですね。「おそらく」とか確証のない数字ばっかり。とりあえず「ヘッジファンドは市場だけではなく、運用資産額とも戦っている」くらいに思って頂ければ思います。

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