2015年5月15日金曜日

リスクヘッジは必要か

■リスクヘッジは必要か
 このごろ、Twitter上で「日経が落ちそうなので日経インバース買いました」「先物ショートしてヘッジしました!」といった発言が目に留まるようになってきました。
 一昔前であれば、個人投資家が指数を触ったりヘッジを入れたりすることはあまりなかったのではないかと思いますが、アベノミクスが始まって数年が経過した昨今、個人投資家のレベルも上がってきたのだと認識させられます。

 投資家にとって資産の減少はなんとしても避けたいものですから、ヘッジを入れて損失が発生しないように対処することは大変素晴らしいことです。しかし、果たしてヘッジは本当にうまく機能するものなのでしょうか。本稿では、ヘッジが上手くいくために必要な条件を改めて整理してみたいと思います。

 なお結論だけ先に言ってしまいますと、「ヘッジはもの凄く難しいので、こんなことやるくらいなら素直にポジションを減らしましょう」という話になりますので、「役に立たねぇ!」と思った方はブラウザを閉じて値上がりランキングでも眺めましょう。



■求めていたのは理想の美少女
 さしあたって本稿では、話を単純にするためにメインのポジションは株のロングのみ、ヘッジは株のショートのみ、両方の株価は同じとして話を進めます。
 なお、ちゃんと勉強している方からすれば「~の場合は違うよね」と思う箇所があるかと思いますが、極力単純化した話だということをご了承下さい。

 ロングしている銘柄をA、ヘッジとしてショートしようとしている銘柄をBとします。私達がヘッジを入れる理由は、個別の銘柄の動きがどうあれ利益を増やし続けることです。従って理想的なAとBの値動きは「Aが上がってもBはさほど上がらず、Aが下がるとBはそれ以上に下がる」という形になります。Aの株価変動を横軸、Bの株価変動を縦軸として、私達が期待する株価の動きをグラフ化したのが下記になります。





 はい、もうこの時点で何かおかしいですね。普通、ヘッジを入れる場合には、AとBの相関を見てヘッジ対象の銘柄を選びます、なぜならAの値動きにBが連動してくれないと、何かあった時ヘッジにならないからです。しかし、下図ではその肝心の相関がねじ曲がっています。ざっくり言うと「普段はこっちのことを歯牙にもかけないのに、風邪を引いたら家に乗り込んで看病してくれる美少女」みたいな大変都合の良い存在です。そんなの2次元にしかいねーよ(´;ω;`)

 問題がもう1つ、もしこのグラフがきれいな線形になった場合、AとBのポジションが同じなら結果的に得られるリターンはAの値動き-Bの値動き*連動率となります。あれ?それって単にB*連動率だけAのポジションを減らしたのと一緒ですよね?それならAのポジションを減らしただけの方が、相関とか考えなくていいのでは?ヘタをしたらAの株価が上がっているのにBがもっと上がって、トータルでは含み損になってしまいます。
 「それなら連動率の分だけBの銘柄のポジションを調整すればいい」というのも1つの答えですが、そうした場合A値動き-Bの値動きは0になります。両建てしているのと一緒ですね。全部売れや。



■ヘッジするとなぜか損失が拡大する
 上記では、単純に値動きだけの比較で問題点を考えてみましたが、もう少し違った角度から考えてみましょう。仮にAとBを同量の保有していた場合、ネットエクスポージャー(ロングポジ-ショートポジ)は0になりますので、一応表面上はリスクにさらされているポジションは0になります。
 しかし、グロスエクスポージャー(ロングポジ+ショートポジ)で見た場合、Aを単独で保有しているのに比べてA+Bの2倍ものポジションを抱えていることになります。つまりリスクにさらされているポジションが2倍に増えたというわけですね。アレ?(゚д゚)
 
 この部分に関しては、まじめに考えると長くなりますのでここでは一端省略させて頂きます。とりあえず明らかなのは、ヘッジというポジションを増やしているのですから、うまくいかない場合にはその分だけ損失が拡大するということです。損失を減らすためにヘッジをやっているはずが、いつの間にか追加のリスクをとっていることには注意が必要です。




■機関投資家は2次元の美少女を求めているのか
 ここまでの話を総括すると「ヘッジを入れるだけ無駄」という風になってしまいます。しかし現実的には、プロフェッショナルである機関投資家勢は、必ずといっていいほどヘッジを入れています。これはなぜなのでしょうか?彼らが2次元の美少女を追い求めているというなら納得できますが、彼らの全てが2次元好きであるとは考えられません。また、もし恒常的にそんな美少女を得る方法があるのであれば、なんとしてもそのやり方を学び取りたいものです。

 その部分を真面目に考えるためには、株価の動きというものをもう少し細かく考えてみる必要があります。つまり、彼らがヘッジしているのは表面的な株価の動きではなく、その要因となっている別のものであると考えてみましょう。

 長くなりましたのでここらで終わりとさせて頂きますが、結局のところ本稿での話は、「上手くやれる自信がないのであれば、ヘッジを入れるよりポジを減らしたほうが安全」という結論となります。次回があれば「ヘッジを上手くやるためにはどうしたらいいのか」ということについて考えたいと思います。
 


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